専業主婦家庭の推移
明らかな右肩下がりになっています
独立行政法人「労働政策研究・研修機構」による専業主婦世帯数と共働き世帯数調査があります。公的機関によるものなので信頼性は高いデータですがそれによると、
専業主婦世帯 | 共働き世帯 | |
1980年 | 1,114 | 614 |
1990年 | 897 | 823 |
2000年 | 916 | 942 |
2010年 | 797 | 1,012 |
2014年 | 720 | 1,077 |
となっていて、1980年代には3割程度だった共働き世帯が、1990年代に逆転し、現在は6割が共働き世帯になっています。少子化によって世帯数そのものが減っていくことが予想されますが、この推移の流れは変わらないものと言われています。
なお、ここで定義する「専業主婦世帯」とは妻が家にいて家事しかしないということを意味しません。よく引き合いに出される「扶養者控除103万円」の範囲内で働いている妻は「専業主婦」になります。
簡単なパート程度では就業者、共働きにはカウントされないことが多いようです。
ただ、似たような調査が複数あり、それによって数字は若干異なっています。ただ、事実として共働きが増加し、専業主婦は右肩下がりで減少している推移は変わらないと考えてください。
それではなぜこうなってきたのか、世界の常識も合わせて多角的に考察していきたいと思います。
専業主婦をめぐる考察
1.世界的にみると日本は専業主婦が多い
実は日本は専業主婦の割合もそれを希望する女性も世界の中ではかなり多いようです。一般的な先進国とはかなり趣を異にしています。
国ごとの明確な統計はありませんが、女性の無職の割合はOECD加盟国(36か国)の中で日本は34番目問というデータがあります。もちろん無職=専業主婦ではなく、病気や何らかの事情で無職の人もいるでしょうが、データとしてはかなり専業主婦の人が多そうです。
それは必ずしも悪いことだとは言えません。要は働かなくても食べていかれる社会であるとも言えます。ひょっとすると外国では貧しい立場の女性は危険な仕事をしないと生きていけない社会なのかもしれません。
もう1つ別のデータとして、15歳生徒の志望職業調査の国別比較があります。
⇒参照元
これによると、日本の15歳の女の子は専業主婦希望者が突出して高いことに驚かされます。専業主婦希望=実際になるわけではありませんが、今の若い子の中でもまだ「専業主婦」が職業としてあり得ることを示しています。
ちなみに割合は
1位 日本 4%
2位 韓国 2.5%
3位 香港 2.4%
4位 ヨルダン 2.2%
となっています。全ての国対象の調査ではありませんが、イスラム教国のヨルダンや儒教の教えが浸透している韓国よりもダントツに高いのはかなり驚きです。これらを勘案すると、良い悪いは別にして日本はかなり特殊な国なのかもしれません。
2.専業主婦の地方格差
続いて日本国内での専業主婦割合の比較です。
これによると、地方のほうが共働き世帯が多く、東京や神奈川など大都市部のほうが専業主婦家庭が多いことが分かります。
共働き率が高い:島根、山形、福井、鳥取、富山、石川・・・
専業主婦率が高い →:神奈川、兵庫、埼玉、千葉、大阪・・・
日本海側の豪雪地帯の共働き率が明らかに高くなっています。このような結果になったことにはいくつかの理由が考えられます。
①都会のほうが年収が高い
地方が貧乏だということはありませんが、いくら都会のほうが家賃や地代が高いと言われていても、それ以上に有名企業など高級サラリーマンや医師、弁護士などの稼げる人が多いのも事実です。
要は共働きしなくても一定レベルの生活を送れるのであれば、あえて妻に働くことを求めない夫がいるということです。もちろん、2人で稼いで生活レベルを上げるというのも1つの考え方です。
②待機児童の問題
都市部の人口増加に対して保育園などが足りていない現状があります。つまり働いて出ようにも待機児童になってしまうので、子供の面倒を見てくれる施設が都市部には足りていないのです。
したがって仕方なく家庭でずっと専業主婦をしなければいけない人たちが一定割合いるということになります。
それは過疎化が進む地方でも同じではないか?と思われるかもしれませんが、人口が減っているので既存の保育園などで十分足りるというのが1点、もう1つの理由として子供たちの祖父母との同居や近くに住んでいる人たちがいるので、子供の世話は祖父母に見てもらうことができるから妻も働きに出られます。
比較的核家族化が進んでいない地方だから可能なことだとも言えます。
③昔からの風習
意外なことですが、地方、特に上で挙げた共働き率が高い豪雪地帯では女性も働くという文化が根付いていると言われています。
まぁ、大雪が降る冬場はどうしても雪かきなどをしないといけないわけで、「労働力」として女性が大切にされてきたという歴史があります。
3.世代間の価値観ギャップ
Karen – Glamour Shoot / Aylanah
内閣府による「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」かどうかの調査結果がこれです。
⇒参照元
推移の長期的な傾向としてそうした意識は減少しています。なお、平成24年に一時的に「賛成」が増えたのは東日本大震災の影響があったためと言われていますが、元に戻っているようです。
年齢別でも分かりますが、高齢になるほどこの考えに賛成の割合が増えます。若年者ほど反対なので共働き肯定が増えて行くというわけです。
ちなみに30歳~39歳で「賛成」が少し増えているのは仕事上一番負荷がかかる世代で、家に入れるなら入りたいと思う人や、実際に子育てが大変で仕事と並行が厳しいと思う女性が「現場の声」として出てきているためだと言われています。
4.非正規労働者の増加
Lunch break / Bilderschachtel Photography
昔のように夫が正社員で定年まで一定の賃金が保証されるということは少なくなりました。当然、家族設計、人生設計を考えた場合、思うようにいかなくなりますので妻も働いて家計を支える必要が出てきています。
そもそも、非正規雇用の男性は結婚相談所に入会できないなど、結婚へのハードルが高すぎるため、結婚できたとしてもその収入だけでやっていくのは大変です。夫婦2人だけならまだしも、子供が生まれれば共働きしないと育てることはできません。
そうした子育て世代の経済的な不安定さも、専業主婦世帯を減少させ、共働きが増加する推移を後押ししています。
5.女性の社会進出
最後は言うまでもないことですが、女性の社会進出です。男女雇用機会均等法制定前のように「女性は一般職」「結婚すれば退社するように無言の圧力がかかる」「育児休業などの制度も未整備」という状態はかなり少なくなりました。
そのままキャリアを続けたい女性が家庭に入ることを強いられることはなくなり、本人(と夫)の意思によって共働きを継続することができるようになりました。不本意ながら専業主婦にならなければいけない状況ではありません。
各家庭の価値観や経済状態、本人の意識を確認しましょう
色々な選択肢があります
この記事は「専業主婦は時代遅れ、ダメ」と言っているものではありません。その家庭の事情によって、一番良い働き方を選択できる世の中になってきているということです。もし、夫に十分な収入があり、子育てに専念したいというのであれば専業主婦でも構いません。
一方で子供の学歴は親の年収に比例するというデータもあります。教育にはお金がかかるため夫婦で稼いで良い学校や塾に通わせることも必要なのかもしれません。
要は「こうあらねばならない」という意識は薄れてきているということです。したがって専業主婦ではなく「専業『主夫』」という家庭があっても全然かまわないと思います。夫が家庭を守るというケースがあっても問題ありません。
世界的にみると日本の女性が専業主婦希望が多いように思えますが、これも欧米などではそうした意識を許さない雰囲気があるのかもしれません。ひょっとすると専業主婦になりたい女性が潜在的にはあまり変わらない、日本だから堂々と意思表示ができるとも解釈できます。
答えがない問題ですが、男女どちらかに色々な負担を押し付けるのではなく夫婦で分かち合うのが大切なのだと締めさせていただきます。
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