国際結婚は異文化の交流が豊かな一方で、離婚する際には特有の課題が伴います。
国際結婚の離婚では、どちらかの国の法律が適用されます。
どの国の法律を適用するかは、夫婦間の合意や居住地、それぞれの国の法律によって異なります。
国内における国際結婚の離婚率は約7割
厚生労働省が毎年発表する「人口動態統計」によると、平成25年度(2013年)における日本国内の国際結婚件数は21,488件となっており、同年の国際結婚の離婚件数は、15,196件となっています。
一方、同じく厚生労働省調べによる平成25年度の日本人同士による婚姻件数は、639,125件となっており、同年の離婚件数は216,187件という結果になっています。
上のデータの数字に基づいて国際結婚の離婚率を算出してみると、平成25年度の国際結婚の離婚率は、国際結婚の婚姻件数に対して約7割という結果になります。
一概には言えませんが、平成25年度の婚姻数に対する約3割という日本人同士の離婚率から比べるなら、離婚に至る国際カップルの数が多いと考えることができるでしょう。
参考資料:厚生労働省「人口動態統計」
第1-37表 婚姻件数,年次×夫妻の国籍別
第1-42表 離婚件数,年次×夫妻の国籍別
国際結婚で離婚する時に注意したいこと
国際結婚は多文化の背景を持ち、離婚時に特有の問題が生じることがあります。
離婚を考えている国際結婚カップルは、以下の事項に注意する必要があります。
離婚で適用される法律
国際結婚の離婚では、どちらかの国の法律が適用されます。
どの国の法律を適用するかは、夫婦間の合意や居住地によって異なるため、注意が必要です。
離婚は相手の国ごとに手続きが違う
国際結婚の離婚手続きは、配偶者の出身国によって異なります。
各国の法律や手続きについて理解し、適切なアドバイスを受けることが重要です。
相手が出身国に住んでいない場合の対応
国際結婚では、配偶者が別々の国に住んでいるケースもあります。
この場合、離婚手続きが複雑になるため、専門家の助けを借りることを検討しましょう。
結婚した後の戸籍
離婚後の戸籍変更は、国際結婚特有の問題です。
戸籍をどの国に置くかは、将来の計画に影響を与えるため、注意深く決定する必要があります。
離婚協議書の作成
離婚に際して協議書を作成することは、双方の合意を形式化し、将来のトラブルを避けるために重要です。
ビザ変更の手続について
国際結婚の場合、離婚後のビザの状態が変わることがあります。
滞在許可や国籍の問題に対して、事前に確認し対処することが必要です。
国際結婚の離婚を有利に進めるポイント
国際結婚の離婚を円滑に進めるためには、以下のポイントが有効です。
日本の裁判所で調停手続きを利用
日本の裁判所での調停手続きを利用することで、法的な支援を受けながら離婚を進めることができます。
財産分与や慰謝料請求を求める場合は一括で請求
財産分与や慰謝料の請求を一括で行うことで、手続きを簡素化し、迅速に解決することが可能になります。
国際結婚で気を付けたいポイント
国際結婚の離婚における注意をまとめました。
離婚する場合、法律についても理解する必要があります。
1.国際結婚は面倒くさいということを知っておこう
Tired. / lethaargic
国際結婚に至る理由はさまざまですが、国内における行政上の手続きやお互いの国の法律などに精通しておく必要があるため、国際結婚のハードルはなかなか高いと言えるでしょう。
最初は、愛があれば乗り越えられると思っていたものの、パートナーの国に滞在するためにはビザの手続きや外国人登録、国内における免許の取得などに至るまで、いろいろな問題に直面することになります。
一例として、ジュネーブ条約加盟国出身者が国内で運転免許を取得するのは簡単ですが、加盟国でない方の場合においては、運転免許を取得するだけでも苦労することになります。
外国人にとってはかなりの難関である、筆記試験と実技試験を受けて、それらに合格してはじめて日本の運転免許証を受け取ることができます。
中には何年も試験に落ち続けた結果、とうとう運転免許の取得をあきらめてしまう方も多くいます。
そのような場合には、パートナーの日本人がどこに行くにも車を運転して行く必要があるため、それを負担に感じることもあるようです。
国際結婚した後に日本に住む場合には、まずどのような手続きが必要になるのか、しっかり調べた後に結婚に踏み切るなら、ある程度の問題や障害には対処することができるのではないでしょうか。
2.パートナーの国の文化や風習への理解を深めよう
DSC4954 / jeremy1choo
外国人であったとしても、日本に住んでいるのだから日本の文化や風習に馴染むべきだ、という意見もあるでしょう。
もちろん、なにごとも問題なく生活するためには、住んでいる国の法制度をはじめ、文化や風習を知っておくことはとても大切なことです。
しかし、パートナーの物事に対する考え方を知り、お互いを尊敬し尊重するためには、どちらか一方だけの理解を求めるのではなく、お互いの国のことや文化的な背景を知る必要があります。
相手の国の文化や風習を理解すれば、日本人からすれば不思議に思える外国人の物事の考え方や行動も、受け入れられるように助けられるでしょう。
そうすることで、国際結婚の離婚率を少しでも下げることができるかもしれませんね。
3.国際結婚に憧れが強い人ほど注意が必要
タイトルなし / half alive – soo zzzz
結婚前に抱いていた、国際結婚に対する憧れが強い人の離婚率は知る由もありませんが、実は国際結婚したいと望む人ほど、結婚後に失望を経験する確率が高いと言えるかもしれません。
そもそも国際結婚に憧れる人の中には、可愛いハーフの子供が欲しいとか、彼氏彼女が外国人だと人に自慢できるなど、自分の見栄のために国際結婚をしたいと考える人もいるようです。
それがすべて間違っているとは言えませんが、そうなってしまうと、パートナーの個性や人となりに惹かれて結婚したのではなく、パートナーの国籍と外見にのみ惹かれて結婚してしまう方も出てくるでしょう。
偶然好きになった人が外国籍だったのであれば、結婚後に直面するであろう数々の問題に対処する覚悟を持つことができ、実際にそれらの問題を乗り越える努力を惜しまないものです。
しかしながら、パートナーのステータスだけに憧れて結婚してしまった場合には、国際結婚のメリットよりもデメリットのほうが多く感じられ、やがて結婚生活が破綻する結果になってしまうでしょう。
4.勢いだけで国際結婚するのは危険
Caution / プらチナ
「結婚はタイミングだ。」とはよく言われる言葉ですが、こと国際結婚においては、タイミングや勢いにまかせて行うものではないと言えるでしょう。
ビビビと電流が走って恋に落ちたのはいいものの、そのまま突っ走って結婚すると、「こんなはずじゃなかったのに。」という結果になりかねません。
甘い言葉に浮かれてしまい、パートナーの状況をよく調べもせずに結婚してしまうと、実際には妻帯者との重婚をしていたなど、知らず知らずのうちに面倒に巻き込まれてしまうことだってあるのです。
相手がどんな人なのか、現在どんな状況に置かれているのかを調べるのは大変なことかもしれませんが、まずは相手に信頼できる証拠を提出するようお願いするところから、お付き合いをはじめることができるでしょう。
国際結婚の離婚率の高さにおびえる必要はまったくない
国際結婚の離婚率を知ると、国際結婚を成功させるためには、かなりの努力が必要とされることが理解できるかもしれません。
ですが、それは日本人同士の結婚でも同じこと。違う個性がひとつの家に住んでひとつの幸せな家庭を築くには、お互いの思いやりと理解、そしてどちらか一方ではなく双方の協力が欠かせません。
ですから、国際結婚という選択肢を選ぶのは、決してリスキーなことではないと言えるでしょう。
国際結婚がうまく行かないという人は、日本人と結婚してもうまく行かないことだってあるでしょう。
確かに、国際結婚をするなら、お互いの国の法律や煩雑な手続きに翻弄されることもあります。しかしながら、それらを乗り越えるからこそ、自分の視野を広げる機会や忍耐力を培う機会を持つことができるのではないでしょうか。