マッチングアプリで審査され消耗する男女を救うための新しい出会い
本に手と手がかさなるようなロマンチックな出会いを追求してできたサービス
チャプターズを知ったきっかけはコロナ禍下の出会いを特集した『ガイアの夜明け』(テレビ東京)でした。
毎月4冊の本から読んでみたい本を選び、送ってもらって同じ本を読んだ人同士が交流できるオンライン書店だそうです。
同じ本に手を伸ばした2人の手が重なるような偶然の出会いを作るというコンセプトがほかのマッチングサービスとは一線を画すものだなと思いました。
婚活や恋活に特化しているサービスではないためで、女性が女性と出会うこともありますし、既婚者や恋人がいる方も登録できます。
それでも、ユーザーの9割が未婚者で、チャプターズで出会い交際に発展したという報告も毎月運営に届くそうです。
どんなサービスなのか代表の森本萌乃さんに取材しました。
菊乃
「すでに趣味が合う人と会うというマッチングサービスもありますよが、チャプターズを作ろうと思ったきっかけは何でしょうか?」
森本さん
「既存のマッチングサービスと目標地点が違います。
私も20代後半のころにマッチングアプリを使っていました。出会えたら100点、出会えないと0点というマッチングアプリのシステムが極端だし窮屈だなと感じていました。登録してがんばって使っているのに、出会えないことで自分を責める方もいらっしゃると思います。
もっと、自分がすり減らないサービスがあればいいのになあと感じていたのがチャプターズを作ったきっかけです。
チャプターズは出会わなくて本を読んでいるだけという使い方もできます。
素敵な本に出会うとまず50点、人と感想を共有すると60点、連絡先が交換できたら70点…そんな風に加点式で感じられると、長く楽しく続けられそうじゃないですか?その延長線に出会いがあれば最高ですが、なくてもいいんです。
チャプターズで出会った方と付き合ったという報告はいただいているのですが、付き合った方の数は追わないと決めています」
菊乃
「婚活はみんな辛いし、選ぶ・選ばれないという結果も出るから消耗しますよね。
効率的を追求したい方には既存のサービスが向いていると思いますが、自分の私生活に成果主義を導入したくない人も多くいらっしゃいますね。
ユーザーはどれぐらいいるのでしょうか?」
ユーザー数4000人突破!9割は未婚者
森本さん
「ありがたいことに2022年10月で登録者数が通算で4000名を超えました。20~30代の方が全体の7~8割です。男女比は4:6ぐらいで女性が多いです。」
菊乃
「どんな方が登録しているのでしょうか?」
森本さん
「独身の方が9割です。恋人がいるという方も登録できますが、こちらも全体の1割程度です。チャプターズの場合、恋人ができても止めずに続けている方が多いです。
プロフィールに読書習慣を入れる項目がありますが、月1冊以下というライトな読書好きが全体の6割です」
菊乃
「読書家ばっかりではないのですね。本は嫌いじゃないけれど、最近はほとんど読まないって方も多いですよね。読書以外の趣味はどんなことが好きな方が多いのでしょか?」
森本さん
「いろいろです。テニスの方もいれば、カフェめぐりとかホラー映画が好きとか」
菊乃
「勝手にインドア派の方が多いのかなと思ってました。ユーザーの共通点は何かありますか?」
森本さん
「既存のマッチングサービスに抵抗感があることが共通点だと思います。
出会えるサービスはチャプターズが初めてという方が約4割でした。平行して他のマッチングサービスも使っている方も一部いらっしゃいましたが、少数派でした」
菊乃
「婚活や恋活をエンジョイする人も少数派ですよね。大半はやりたくないし、義務感で仕方がなくやっているという人が大半だと思います」
森本さん
「そうですよね。
分かりやすいサービスではないのですが、しっかりサービスの趣旨を読んで理解してから利用する方が多いのでお客様の質もよくて、登録された方の継続率が長いことも自慢の一つです。」
選書の満足度が高いから続けられる
菊乃
「やめる人が少ないのはすごいですね。それはなぜだと思いますか?」
森本さん
「選書の満足度が高いからです。いい本に出合えて楽しかったので続くのです。
ユーザーアンケートをとったところ選書の満足度で一番多いのは5段階中4を選ぶ方でした。次に多いのが満足度5の方です。
選書は出版社や書店とも一緒に選んでおります。9月は『耳をすませば』がテーマでした。
4冊のストーリー、読みやすさ、ページ数、教養といった観点から本は毎月選んでいきます。タイトルは伏せることが多いので、詳しい方ならどの本か分かるかもしれませんが、届くまでワクワクする楽しみもあります。
4冊のうち1冊は漫画や短編集を入れるので、今が忙しくて長編は読めないという方も続けられるようになっています」
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菊乃
「そうなのですね。本はどれぐらいで届くのでしょうか?」
森本さん
「1週間ぐらいです。チャプターズの専用のカバーをかけてお送りしています」
菊乃
「共通の本を読んだ人と出会うためのアペロは毎月参加される方が多いのでしょうか?」
森本さん
「毎月の参加率は約5割程度です。
おそらくチャプターズユーザーの8割ぐらいはアペロに参加したことがあると思うのですが届いた本を読んでいるだけという楽しみ方をしている方もいらっしゃいます」
菊乃
「それだけ、選書のセンスが良いのですね。どういった本が多いのでしょうか?」
森本さん
「芥川賞や直木賞というよりは、本屋大賞ノミネート作品のような親しみやすいエンタメ小説が多いですね。ただ、純文学や海外文学、学術書や漫画などを選書する月もあり、バリエーションを大切にしています。」
⇒過去の選書の一例はコチラ
日本人に『婚活』『恋活』という出会いは不向きだと思うから
菊乃
「チャプターズは言葉選びも独特だと感じました。同じ本を読んだ人との交流をアペロ(フランス語で食前酒。あるいは夕食前に親しい人と飲みながら楽しむ時間という意味)と呼んでいらっしゃいますね。
他のマッチングサービスだと『オンラインデート』とか『トークタイム』とか呼ぶことが多いと思いますが、アペロという名称にしたのはなぜでしょうか?」
森本さん
「オンラインデートって名前だと身構えてしまいそうな表現で抵抗がないでしょうか」
菊乃
「分かります。婚活パーティーは行きたくないけど、異性もいるお花見なら行ってもいいよみたいな方々をいつも説得する側なので。
その露骨に出会いを感じさせる響きに抵抗がある方が多いのは理解しています。自意識過剰なのだと思いますが…」
森本さん
「お客様の自意識を守ることもミッションだと思っています。
日本人は、ストレートに愛情表現をするより行間を察してほしいと感じる国民性ですよね。海外で始まった効率重視のマッチングサービスが合わない方が多いのは当然だと思うんです。
婚活・恋活っぽくは見せず、あくまで書店という体裁だけれど恋愛もできるようにケアされている、そんな場作りを心掛けています。
書店と出会いのバランスは慎重に考えています」
菊乃
「自意識を守るという言葉がすごいです!
目標を決めて恋活・婚活することに気持ちがついていかない方も肯定してあげるセンスが素晴らしいと思います。
今は自然な出会いなんてもうないから、偶然を期待して待つなという側でした。ほんと婚活に抵抗がある方が多いんですよね。
アペロ参加の流れを教えていただけますか?」
森本さん
「参加申し込みをしたら翌々週の週末に参加できます。1回のアペロの人数は2~3人です。
開催は金土日月で平日は20時から、土日は17時からです。同じ本と居住地と希望日を加味してお相手は運営側が選んでいます。
トーク時間は一人20分です。
いきなりトークをしようと言われても話せないのが普通だと思います。アペロでは、2分に1回のペースで質問が送られてくるのでそれに答えていくようになっています。
- 今日の朝は何を食べましたか?
- この作品の結末は許せましたか?
- あなたが主人公ならどう行動しますか?
こんな質問が出ます。
初めの10分はお互いのお顔も見えないようになっていて。
第一印象は視覚情報が占める割合が大きいですけれど、結局は人柄の方が大事な方が多いですよね。外見に左右されず、話が合うなと思ってから外見が分かるようにした方が良いかなと思いこのようにしました。
初めに顔を出さないという仕組みに共感していただける会員様が多いです。
ニックネームを推奨しており本名は分かりません。相手の情報も「20代・東京都」程度しか事前に分からないので身バレの心配もありません。
アペロが終わってから、連絡先交換の画面が出てきます。双方が連絡先交換したいとなった場合のみ、事前に登録しておいた自分の連絡先(メールアドレスやSNSアカウント等)側に開示されます。
もし、連絡先交換しなかった方とは次のアペロで出会うことはありません。
同じ本を選んで、同じ時間を選び、近くに住んでいる同士というだけで奇跡ですよね。アペロに参加した方同士の連絡先交換率は67%と高水準を維持しています」
菊乃
「すごいですね。結婚相談所の場合だと、2回目に会ってもいいかなと双方が思って連絡先交換に進む割合が平均すると3割ぐらいなんです。67%はかなり高いと思います。
アペロは月に何回参加できるのですか?」
森本さん
「定額制の料金内に1回分のアペロが含まれます。もっと参加したい場合、1回500円で増やせます。
チャプターズ登録2カ月目から『リクエストアペロ』といって運営側から合いそうな人を紹介するサービスもあり、月最大4人ご紹介しております。
相手選びは読書習慣、好きな本3冊、年齢、過去の選んだ本、居住地から選ぶようにしております」
新しい取り組み!チャプターズメンバーとリアルに会えるイベント
菊乃
「これから予定している新しい機能とか取り組みはなにかございますか?」
森本さん
「2022年の夏にリアルイベントを開催したところ、お客様から大変好評でした。参加者アンケートを見たら『もっと話したかった』『もっと会いたかった』という声が多かったのです。
あまり婚活っぽさを出さずに来たのですが11月2日にはじめて男女の出会いのためのイベントを芝パークホテルで開催したところ、こちらも好評で、今後本を通じて人がリアルで出会えたり、読書体験が拡大していくような取り組みはもっと増やして行きたいですね。
本棚で本当に手と手が重なったら、一番ロマンチックじゃないですか。。
この秋、もう一つ新たな取り組みとして、10月28日から12月30日まで金曜日の夕方から、代官山蔦屋書店のSHARE LOUNGEでチャプターズ会員の同士が、出会えるイベントを開催します。
ただ同じ時間に会員様が利用できる、というだけなのですが、同じブックカバーで読書していることをきっかけに会話が始まったらいいなと期待を寄せています。
これからもっと出会いやすくしていきたいなと思っています」